「デザイン思考」基本の5ステップ(東洋経済)

 割と常識的なことを構造化することで議論を共有させやすくなっているが、チーム活動ではとても重要だ。

https://toyokeizai.net/articles/-/510723

今さら聞けない「デザイン思考」基本の5ステップ代表的な2つの「フレームワーク」を図で解説


「デザイン思考のフレームワーク」について解説します(写真:takeuchi masato/PIXTA)
イノベーション開発の文脈では、デザイン思考は「ユーザーの顧客体験から本質的なニーズを発見し、イノベーションにつなげる思考法」とされています。イノベーションというとどうしても「従来の思考や枠にとらわれない、突飛で革新的」というイメージがつきまといますが、その思考プロセスも実は定式化されています。『武器としての戦略フレームワーク』を一部抜粋し再構成のうえ「デザイン思考のフレームワーク」について解説します。

5つのデザイン思考プロセス

ユーザーの「顧客体験」を軸にビジネスを再構築してイノベーションを起こす発想法として、昨今注目されているのが「デザイン思考」です。デザイン思考にもさまざまな定義がありますが、イノベーション開発の文脈では、ユーザーの顧客体験から本質的なニーズを発見してイノベーションを起こす思考法のことを指します。

ここで大切なのが、デザイン思考のプロセスが定式化されていることです。これについてもいくつかあるのですが、ここでは代表的な2つのフレームワークを紹介しましょう。

1つ目は、スタンフォード大学dスクールが提唱している「5つのデザイン思考プロセス」です。デザインコンサルタント会社IDEO創業者のデビッド・ケリーが設立したスタンフォード大学dスクールは、まさしくデザイン思考の総本山とも言える場所で、デザイン思考といえば、このフレームワークが最も有名でしょう。下図のように、5つのステップを踏まえてデザイン思考を実践していくことが推奨されています。

(画像: 『武器としての戦略フレームワーク』)

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https://toyokeizai.net/articles/-/510723?page=2

最初は「共感(Empathize)」です。顧客の思いや痛みを共に感じ入るところからスタートするということです。こうしたステップは、従来のロジカル思考の戦略策定手法には見られなかったもので、まずここから始まっているところが、顧客体験に根ざすデザイン思考の肝です。

この共感のためには、顧客と一緒に体験したり、観察したり、深いインタビューを継続して行なったりすることによって、顧客の感情に寄り添い、そして顧客の本質的なニーズを発見していくのです。

「問題定義」とは?

次が「問題定義(Define)」で、顧客中心の視点から問題を設定します。共感ステップで感じ取ったユーザーの思いに応える課題として定義します。

そして、「創造(Ideate)」です。設定した問題の解決策を考えます。ここでは、制約を設けず、ブレインストーミングなどでどんどんアイデアを発散させていきます。

ここから先が、デザイン思考の固有のステップである「プロトタイプ(Prototype)」から「テスト(Test)」です。創造ステップで出してきたアイデアを無理に1つにまとめるのではなく、まずはいくつかプロトタイプの形で実行してみるということです。プロトタイプでテストをすることで、はじめて本当の解決策に到達するからです。

したがって、プロトタイプで大切なのは、手軽にやってみるということです。手軽に短時間に低コストで実施しないことには、いくつも試行錯誤ができないからです。たとえば、商品コンセプトを絵コンテで見せてコメントをもらう、トップ画面だけつくってみてフィードバックをもらう、といったレベルでどんどん実施してみることです。

実は、このあたりの試行錯誤による問題解決という流れは、アメリカのエリック・リースによりスタートアップのイノベーションサイクルとして提唱された「リーンスタートアップ」にも通ずるものです。

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https://toyokeizai.net/articles/-/510723?page=3


もう1つのフレームワークは、イギリスの公的機関であるデザイン・カウンシルが2004年に提唱した「ダブルダイヤモンド」です。

(画像: 『武器としての戦略フレームワーク』)

このダブルダイヤモンドは、ダイヤモンド形状のものが2つあるプロセスとなっており、発散→収束のステップを2回繰り返すイメージです。その結果、4つのDで始まるプロセスとなります。

(画像: 『武器としての戦略フレームワーク』)

本質的には同じプロセスを踏む

まず、第1(左)のダイヤモンドは「発見(Discover)」から「定義(Define)」です。課題を発見して定義するということなので、dスクールのプロセスの「共感(Empathize)」から「定義(Define)」とほぼ同様と考えていただいていいでしょう。

『武器としての戦略フレームワーク』(日本実業出版社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

第2(右)のダイヤモンドは「展開(Develop)」から「提供(Deliver)」です。「展開(Develop)」は解決案をどんどん出していくところなので、先ほどの「創造(Ideate)」と同様のステップです。

そして「提供(Deliver)」はプロトタイプを使ってテストを重ねていくところなので、「プロトタイプ(Prototype)」から「テスト(Test)」に相当します。

つまり、dスクールの5つのデザイン思考プロセスも、デザイン・カウンシルのダブルダイヤモンドも、一見すると形状は異なりますが、本質的には同じプロセスを踏むフレームワークだということがわかるでしょう。

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